データが大事

ブログタイトルはデータが(だいじ)と(おおごと)とも読み、二つの意味を持ちます。作家の日垣隆氏の著作である子どもが大事にあやかったタイトルです。データにまつわるおおごとでだいじな諸々を記事にしています。

上級国民と下級国民

上級国民/下級国民で述べられていることを端的に述べるとそれは上級国民と下級国民を隔てるのは大学卒かどうかです。その分断は全世界で進行しており、人種・性別・職種を問わず進行している現状です。

 

アファーマティブアクションをご存じでしょうか?積極的差別是正措置と訳されますが、これによって職業上の逆差別が生じると当の黒人から撤廃を求める運動が起きています。

どういうことかというと、『マイノリティは大学などの進学で優遇措置を受けることができます。白人や(優遇措置の対象外とされている)アジア系よりも低い点数で医学大学に入学し、医者になれるということです。あなたがこのことを知っているとして(アメリカではだれでも知っています)、自分の子どもが重篤な病気にかかったとき、黒人の医師に診てもらおうとするでしょうかーー。アメリカではこうして黒人の患者ですら黒人の医師を避けるようになりました。』

このような事態が医療や法律という専門職の世界で起こるようになり、アファーマティブアクションの恩恵なしで実力で職を得た黒人たちが優遇措置の完全廃止を求めることとなりました。黒人同士の間にみられる分断です。

 

アメリカ社会は白人と黒人の人種対立ではなく、白人社会の中でベルモント(新上流階級)とフィッシュタウン(新下流階級)に分断されている』

『知識社会では、ひとびとは「知能」よって分断されるのです。』

 

世界的にこの分断が進行しています。もちろん日本もです。

前回の記事『上級国民』で書きましたが、この知識階級の分断は日本ではSSPの結果から大卒/非大卒としましたが間違っていないでしょう。

 

日本ではいわゆるネトウヨといわれる排外的な人々が、親中・親韓の態度を見せる人たちを在日認定しバッシングする一方、日本の知識人はまったく話の通じないネトウヨより韓中の知識人にシンパシーを感じるようです。この分断がこの先日本にどのような影響を与えるのでしょうか。分断がますます進行し、世界的に起こっている移民や非知識階級のテロが活発になるか。研究が進み非知識階級に対する制度や政策で分断を緩和できるようになるか。

 

 

 ・参考図書 上級国民/下級国民 著者:橘玲 2019年8月

上級国民

上級国民というワードがネットを賑わせるようになってだいぶたちます。池袋の暴走事故で犠牲者を出した運転手が逮捕されないのは加害者が元官僚だからと市民は憶測を交えながらブログやツイッターでやり玉にあげています。

 

そんな中、上級国民/下級国民が上梓されました。著者はベストセラー『黄金の羽の拾い方』の作者橘玲氏。橘氏はデータ(事実)を提示してこの問題を解き明かします。

 

おもに三つのパートからなり、第1章では正規、非正規雇用の問題を扱い。データから非正規雇用の増加は30年前にくらべ相対的に増えているのは若年層男子の雇用であることを炙り出し。それは壮年、はっきり言うと団塊の世代正規雇用を守るために若年層の正規雇用が抑制されていたことを喝破します。

正規雇用が増えているといわれますが、データを細かく見ていくと、昔と比べ相対的に増えているのは若年層の男子の非正規雇用でそれは団塊の世代の雇用を守るために犠牲になっているというのです。

 

そしてその犠牲は団塊の世代が高齢者になり年金をもらう年代になるとさらに犠牲を強いられることになると続きます。

 

第2章では日本で実施された『SSP(階層と社会意識全国調査)の結果から現代日本人の「ポジティブ感情」を比較し』上級国民の本質に迫っています。

グループを年齢、性別、大卒・非大卒の8のグループに分けいわゆる幸福度ランキングに表すと以下の通り。

順位 性別 年齢 学歴  得点

 1.女性 若年 大卒  52.07

 2.男性 壮年 大卒  51.81

 3.女性 壮年 大卒  51.72 

 4.男性 若年 大卒  50.75

 5.女性 若年 非大卒 49.58

 6.男性 若年 非大卒 48.81

 7.女性 壮年 非大卒 48.69

 8.男性 壮年 非大卒  47.94

 

『ここに一定の傾向があることがわかります。以下の3点にまとめられるでしょう。

①非大卒より大卒の方がポジティブ感情が高い(例外なし)

②他の要素が同じなら男性より女性の方がポジティブ感情が高い(壮年大卒男性は例外)

③他の要素が同じなら壮年より若年の方がポジティブ感情が高い(若年大卒団は例外)』

 

このランキングからわかることはいくつかあってそれぞれ細かく考察してあるのですが、だれの目にも明らかなことがあります。それは①非大卒より大卒の方がポジティブ感情が高いです。例外はありません。

出身大学によって格差はあるでしょうが、大卒・非大卒の間には絶対に埋まらない溝があります。実は学歴社会の日本では大卒・非大卒で上級国民・下級国民にわかれるようです。

 

第3章ではこの分断が世界的に進行していることを考察しています。

 

是非1と2章だけでも読んでいただきたい。とくに若年層(39~20)には最悪1章だけでも読んでほしい。どれだけ若年層が犠牲になっているのか、自己責任のもとに攻撃されてきたのか、事実を知っておくべきだと思います。

 

 

 

・参考図書 上級国民/下級国民 著者:橘玲 2019年8月

政府はもう嘘をつけない

『今、この国の法律の9割は、国会議員が作る「議員立法」ではなく、政府(首相+大臣)が出す「閣法」で、その中身は官僚が書いている。』(政府はもう嘘をつけない

 

学校で民主主義の根幹の三権分立を学ぶとき、立法(国会)・司法(裁判所)行政(内閣)がそれぞれ独立して、お互いに監視し、抑制しあいながら国家運営を進めていくと学びます。

言葉の違いはあるかもしれませんが、基本三権(立法・司法・行政)は分離独立しておりどこか一つがより力を持つということはありません。

 

『民主主義の柱である「三権分立」は、国会議員(立法)が法案を作り、法制局(司法)がチェックし、政府(行政)がそれを実行するという、』

『「国会議員の仕事」(中略)本来、立法府に勤務する彼らの仕事は、実は議場でヤジを飛ばすことでも駅前でお辞儀をすることでもない、「法律を作ること」』(政府はもう嘘をつけない

 

冒頭のことがどういう事かというと

 

『「官僚」が作った法案を「官僚」がチェックする図になっている。』(政府はもう嘘をつけない) 

 

そんなことでチェック機能が働くのかという気がします。

 

そしてこの本を読むまで完全に勘違いしていることも書かれていました。これは多くの日本人が勘違いもしくは知らないことだと思います。正直大スクープと言っても過言ではないと思います。しかし地上波のニュース等では報じられることはないでしょう。

 

『「この国で、公務員って誰だか知っていますか?」(中略)「本来憲法に書かれた全体の奉仕者である《公務員》とは、国民の手で選ばれ、国民の手でクビにできる、《国会議員》だけなのです。』(同上)

 

いかがでしょう?

私は官僚(国家公務員)も地方公務員憲法15条がいうところの公務員と思っていましたが、全然違いました。

 

『確かに「憲法第15条」には、次のように書いてある。

①公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である

②すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない

③公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する』(同上)

 

『「官僚は憲法73条でちゃんと政治家公務員が使う役人『官吏』と書かれています。』(同上)

『「選挙で落とせない〈役人〉に責任を取らせることはできません」』(同上)

 

最近官僚の不祥事が目立ちますが、個人的には本当になにかあれば、憲法の15ー①の国民固有の権利で罷免できるから大丈夫だろうと漠然と考えていましたがそうではありませんでした。

現在では省庁の幹部人事は内閣人事局が一元管理し、すべて首相官邸の意向が反映されるようになっている。

 

 

・参考図書 政府はもう嘘をつけない 著書:堤未果 2016年7月

歯は磨いてはいけない

歯は磨いてはいけない!

常識を覆してくれるような本が好きです。これはタイトルからいきなりそうですね。もちろんこういう内容の本が好きなのですが、僕は昔からあんまり歯を磨かず、一日一回ぐらい(それもどうかと思うが)歯磨き粉も使わず、塩を少しで磨いてました。長じてからは塩すら使わず、毛先を水で濡らすだけになりました。

なんとなくそれでよいと感じてました。実際子供のころはともかく、大人になってからは(子供のころに詰めた)銀の被せるやつがとれたりとか、親知らずが痛むといった理由以外で、つまり虫歯を理由に歯医者に行ったことはほとんどありません。

 

ということなので本屋でこのタイトルを見た時にビビッときて購入しました。

もしかしたら僕の今までの疑問が解消されるのではないだろうか、という期待を込めて。

 

さっそく気になるデータと共に内容を確認していきましょう。

 

『日本では100万人以上が寝たきりになり、スウェーデンでは寝たきりの人はほとんどいません。日本では80歳以上で残っている歯が10本以下なのに対し、スウェーデン人は80歳以上で歯が21本以上残っています。』(歯はみがいてはいけない

 

おいおいわかっていきますが、まず日本と世界の歯に対する衛生習慣が全然違います。確認してみましょう。

 

『・「食べたらすぐみがく」というのは日本だけの習慣です。ほかの先進国では、むしろ「すぐみがいてはダメだ」と言われています。』

『・市販の歯みがき剤は、ほとんど意味がありません。むしろ、つけすぎると害になります。』(歯はみがいてはいけない

 

これを知っただけでもこの本を買った意味がありました。

期待通りです。論拠は本の本編にあります。

 

ICU(集中治療室)では、口腔が清潔ではない人は、清潔である人に比べ3倍高い割合で感染症をおこします。』(歯はみがいてはいけない

 

これも怖いデータです。日本人とスウェーデン人の寝たきり高齢者の比較からも口腔内の衛生状態の影響がわかります。

まったく関係ない(とも言えないか)のですが、こういうデータもあったのでご覧ください。

 

『世界の人口の約2%の日本人が、世界で流通している薬の10%を消費している』

 

これも歯みがきの(非)常識、歯をすぐにみがきすぎ、歯みがき粉をつけすぎと一緒で過剰に何かをしすぎる日本人の弊害かもしれません。

 

どうすればいいのか結論に進みます。

『みがくものーーーー食べかすではなく歯垢歯垢とは細菌のかたまりです)

 みがくところーーー歯と歯の間が最重要

 みがく道具ーーーーデンタルフロスをメインに、歯間ブラシも併用

 みがく時間ーーーー就寝前と起床直後』(歯はみがいてはいけない

 

いきなり結論に至りましたが、これはこの本のはじめに、に書いてあります。

でもなぜ?の部分、理由や根拠が気になった方は是非ご自分で手に取って本編をお確かめください。私はうすうす感じていた歯や歯みがきに対する疑問を解消することが出来ました。

 

もう一度このデータを考えてみてください。

『日本では100万人以上が寝たきりになり、スウェーデンでは寝たきりの人はほとんどいません。日本では80歳以上で残っている歯が10本以下なのに対し、スウェーデン人は80歳以上で歯が21本以上残っています。』(歯はみがいてはいけない

 

歯の衛生習慣の違いでこんなにも自歯に違いが出てきます。今ならまだ間に合います。

 

 

・参考図書 歯はみがいてはいけない 著者:森昭 2016年8月

未来少年コナン

最近ネットフリックスに加入しました。

なんと配信作品に子供のころ夢中になってみた未来少年コナンがあったので通しでみることに、子供のころ見た時の印象と違って純粋に面白い以外の見どころがあることに気が付きました。

 

1978年にNHKで放映されたアニメで全26話。今でいうところの2クール。30分番組なので体感、日本の1クールのテレビドラマをまとめて見るような感じでしょうか。

 

知っている人も多いと思いますが、お話の導入としては核戦争後の地球で荒廃した世界を生き残った人たちの物語です。実は原作があってアレクザンダー・ケイの『残された人々』になります。

 

ある島で育った少年、コナンがある事件をきっかけに島を旅立ち。生き残ったいろんな人々と出会い成長していくという物語です。

人気作品なのでかなりの人がご存知で、かつ見たこともあると思いますが、若い方々はもしかしたら名探偵の方のコナンくんしかしらないという方もいると思うので内容の詳細に触れることはしません。

 

今から40年前の作品ですが、その先見性がすごい。現在世界が抱える問題がすでに描かれています。環境問題、エネルギー問題、食料問題、女性の社会進出、民主主義、独裁政治、抵抗運動、防衛戦争、捕虜の扱い、共生社会、循環型社会等々。

 

子供のころはただ楽しく見ていただけなのに、問題意識を持ってみるとその出来事の一つ一つに意味があることがわかります。

一度見たことがある人も大人になった今、見てみることをおススメします。

 

・参考図書 残された人々 著書:アレクザンダー・ケイ

世界第4位の海を持つ日本の海洋資源政策

日本の排他的経済水域を足した面積は世界第6位になるそうです。そしてその面積から海底に至るまでにわたる海水の容積は世界の4位になるそう。すごいですね。

その海水の中にまた貴重な成分が溶け込んでいて、海底に眠る資源もある。もちろんその水域に住んでいるお魚さんも利用することができます。日本はあまり知られていない世界第4位になる海の海洋資源を利用することが出来るのです。

 

『「日本の海」の広さ四四七万平方キロメートルとなる。一方、「中国の海」はその約五分の一、八九万キロメートルでしかない。』

『もはや中国でも、水産資源は国民を養っていくうえで欠かせないものであるが、中国の人口は約一三億人。日本の一〇倍以上の胃袋を満たさなければいけないにもかかわらず、その源となる海は五分の一しかないのだ。』

尖閣諸島周辺には、イラク原油の推定埋蔵量に匹敵する一〇〇〇億バーレル、約七〇〇兆円分の石油が埋蔵されていると見られている。』(日本は世界4位の海洋大国

 

2010年頃から中国の漁船が尖閣諸島周辺海域に侵入し、尖閣諸島の領有権を主張しだしましたが、いたしかたのないことです。

あくまで試算ですが、700兆円分の石油があるとされています。石油資源にも食指が動くのは現在の中国ではしかたないでしょう。 

 

さらにしっておいてほしいことが

 

『日本の海は世界一の種の宝庫でもある。世界中の海に生息する生物のうち14.6%、実に三万三六二九種の、生物が日本の海で確認されている。』(日本は世界4位の海洋大国

 

東日本大震災では三陸海岸を汚染することになりました。自然淘汰は仕方ないことですが、この世界一の海の多様な種を人の手で破壊することは厳に慎んでほしいと思います。 

 

『日本には、6852の島(周囲100メートル以上)があり、そのうち、およそ420の島に人が住んでいる。』(日本は世界4位の海洋大国

 

この島々の12海里が領海を形成し、200海里が排他的経済水域を形成する。日本国に非常にたくさんの海洋資源の恩恵を与えてくれます。

さらに領土問題のない鳥島長崎県)は排他的経済水域を指定していません。この鳥島から排他的経済水域を広げると

 

『日本が鳥島排他的経済水域の起点を設定した場合、新たに3万6000平方キロメートルの海域を得ることができる。また、この海域は、中国が開発をはじめた東シナ海ガス田と同様に、天然ガスが埋蔵されている可能性が高い。』(日本は世界4位の海洋大国

 

メリットしかないですね。

 

日本には未だ係争中の領土問題があります。北方領土対ロシア、竹島対韓国、尖閣諸島対中国・台湾です。こちらは排他的経済水域が設定されていません。尖閣諸島には石油資源が眠っていたりと活用されていない海洋資源があります。ですが争いがある以上は簡単に資源開発というわけにはいかないでしょう。

鳥島や太平洋岸に眠るとされるメタンハイドレートなどの日本独自で開発できる資源に焦点を合わせることも必要だと思います。

政府の海洋資源開発はその分野が多岐にわたるため省庁間の足並みがそろわず進んでいません。まずは国民の皆さんに知ってもらいたいと思いました。

世界第4位の海を持つ日本なのです。

 (※引用部分では読みやすいように漢数字の部分をアラビア数字に変更した部分もあります。予めご了承ください)

 

 

・参考図書 日本は世界4位の海洋大国 著者:山田吉彦 2010年10月

邪馬台国は99.9%福岡県にあった

記事タイトルはまんま本のタイトルです。

邪馬台国。古代史や歴史好きにはたまらないトピックですよね。私も大好きです。

99.9%はほぼ福岡県に在ったといっていいじゃないでしょうか。

 

邪馬台国福岡説と並んで比べられるのが、奈良。奈良県纏向遺跡は実は卑弥呼の神殿でつまりは邪馬台国奈良県にあるという主張です。その邪馬台国奈良説を考古学的なデータとベイズ統計学の確率計算によって反証していきます。

 

前半は大幅にベイズ統計学の確立計算の方法に紙面が割かれているので少し退屈ですが、この計算法を理解することで99.9%福岡県にあった説を納得できると思います。

 

すこし解説させてもらいます。

邪馬台国のことが初めて公に書かれた中国の歴史書魏志倭人伝』の中で関連性のある物、鏡・鉄鏃・勾玉・絹の発掘されている場所と個数を比較します。この場合は福岡と奈良の発掘数になります。

仮に鏡の発掘数で福岡県の方が奈良県の10倍あるなら福岡の方が10倍、奈良よりも確率が高いといったものです。

それを4分野すべてで比較し、合成して結果を出すと上記のような99.9%の確率になります。

 

途中かなり端折りましたが、実際読んでみると納得できるものです。

 

後半はデータを扱うより、邪馬台国畿内説の論破に充てられます。論破というよりも畿内説はマスコミのイメージ操作とそれに乗せられた一般視聴者の世論がなんとなく日本全国をまきこんで畿内説なのかなと思いこまされたとする、マスコミ批判に充てられています。多分そこまで興味のない方は一時期テレビニュースで話題になった畿内説をなんとなくのまま信じているのではないでしょうか。

畿内説がシェアを獲得していった様子もドキュメントタッチに描かれていてそのパートも邪馬台国論争が好きなマニアには楽しめるはずです。

 

とにかく邪馬台国論争に興味のある方、邪馬台国がどこにあるか知りたい方にオススメしたいと思います。

 

 

・参考文献 邪馬台国は99.9%福岡県にあった 著者:安本美典 2015年1月